「写真」って言葉、ズレてません?

まぁそんな細かいこと気にしなさんなという紳士淑女の皆さん。そうかもねと思いつつもしばしお付き合いのほど。

先日ある若者とラインをしたら初めて見たんです、「り」の一言を。これか~とプチ感動。ご存知の方も多いと思いますがこれ「了解」の意味の「り」です。

この頃は「草」も多いですよね、「笑える~~」くらいの意味でしょうか。「w」または「www」が草に見えるかららしいですぞ!

とどめは「卍」ですかね。「まじ卍」に至ってはもはや意味不明です。あえて言えば感嘆符ですかね、「!」、こんな意味です。言語ではなくこうなると感情ですね。

世の中で言う若者言葉は要するに略していたり置き換えたりってことです。個人的には嫌いではないです。言葉は生き物なので当然それを使う層が変えたい理由があるので変わるんでしょう。水は必ず低きに流れるのであって、低きに流れること自体あまり意味はないのだと思います。まぁそういうもんだ、ということです。

つまり何が言いたいかといいますと、用途が広がったり、内容が多様化したり、その言葉に対する物や概念が変化した場合、言語は多様化したり変化するのが普通だと思うんです。
ところがここまで諸々と変わってきているのに「写真」という言語はかたくなに変化しません。かたくなに変化しないがために写真に対する豊かさへの理解の広がりがもたついているのではなかろうか、などとよく思います。

1995年以前は乾板であろうとフィルムであろうと現像した後は印画紙に焼くわけですよね。それを「写真」と呼称したわけです。リバーサルなどは本来の用途ではスライドに使用したわけなので「スライド」と呼称したわけです。スライドは全体から見れば微々たるものでしたからやはり印画紙に焼いたものが「写真」だったわけです。カメラで撮影したら結果印画紙に焼いた物=写真になるわけで、だから「カメラで写真を撮る」という言葉が成立していたわけです。

さてさてデジタル全盛の現在、全体から見れば上記で言う所の「写真」を前提として撮影をしている方はほんの一握りです。皆さんプリントはせずに画像を楽しんでいるわけです。良いとか悪いとかってことではありません。これからいよいよ8K動画が一眼でも撮れる時代ですからまさに動画を静止させた一枚を抜き出しても画質が担保されることになります。そうなると正確に言えばその一枚は「静止画の画像」です。それをプリントすれば「写真」ですがしなければいつまでたっても「静止画の画像」です。もうここまでくると「画像」ですらなく「静止画」の時代なんですね。

カメラのバックモニターに映っているのは「画像」ですし、PCのモニターに映っているのも「画像」です。その「画像」を「写真」と呼ぶのは根本的に無理があるのかなぁと思っています。「画像」って言えばいいのに。だって同じSDカードの中にあるデータだけど全く違うアウトプットなのに同じ呼称をするのは無理がないですね~
見た目が同じ食品サンプルと本物のカレーがあったとしたら、知りながらも食品サンプルを「カレー」とは言わないでしょう。良い悪いではなくて食品サンプルは「食品サンプル」だしカレーは「カレー」でしょう。

なのに「画像」と「写真」をひとくくりに「写真」というのは厄介なことです。フォトフレームで画像を表示させて100台壁に掛けても「写真展」にはならないじゃない~それは内容次第だけどアート展か言葉通りなら「画像展」ですよね。

「人は頑張っても思いの半分も伝えることはできないから、言葉は出来るだけ正確に使いなさい」

言葉を使う仕事をしてきたのでその通りだなぁと思います。完璧に言葉は使えないし、水は低きに流れるし、必要があれば言葉は変わっていくものです。だけどなるべく正しく使おうとすることは、それ自体になるべく真摯でありたいということでもあります。私にとって程よい距離感とはそういうことでもあります。

さて最後に、これは知っている方も多いと思いますが、「写真」の原語は「photograph」です。この「photograph」を直訳すると「光画」なんですね。「写真」とはそもそも「真を写すもの」としての当て字なんですよね。なんだか土門拳っぽいです。

もし「写真」が「写真」でなく「光画」という言葉だったらもっと変わっていたでしょうね~なんだかロマンチックでないですか「光画」って。光で画を描く、、、、なんてエキセントリックなんでしょう~光を記録する道具=カメラは本来「筆」なんですね。その「筆」で自分には世界はこう見えているという「光画」を描くのが実はカメラや写真の一番の楽しみのような気がします。もちろんリアリズムも否定しませんし、記録としての面もありですよ。

「光画」にも「まじ卍」にもロマンを感じる自分でい続けたいなというお話。ちょうどお時間となりました!

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